シックハウス

Q.シックハウス症候群という言葉を耳にしますが、どういうことでしょう?
微量な有害化学物質を摂取し続けることにより、多臓器・多種類にわたる症状・疾患 (化学物質過敏症)等を総称してそう呼びます。具体的な原因としては、内装工事に おけるトルエン、キシレン、ホルムアルデヒド等が挙げられます。また、床下換気の不完全によるカビやダニの発生も原因となります。
症状・疾患としては、自律神経障 害・免疫障害・気道障害・内耳障害・運動器障害・循環器障害・眼科的障害・消化器 障害・精神障害等が多く見られます。
予防方法としては、第一に原因物質を取り除くことです。
さまざまな原因が考えら れますので、原因物質の特定と間違いのない医療的な診断・治療が必要であり、摂取 した化学物質を体内から排出する必要もあります。また、発症は体力の衰えとの因果 関係も考えられており、いつでも体調を整えておくことが大事です。引っ越しや換気 によって改善が見られ例もあります。
シックハウス症候群については、いまだ研究の段階であり、データ不足は否めません。
有害化学物質を含まない素材を使用することが最も効果が期待できる方法と思われます。新築やリフォームの際には、業者によく相談することです。 『月刊ぷらざ2001年7月号掲載』回答:下田進(JIA会員)
Q.アレルギー体質です。リフォームの際のシックハウス対策についてどんな点に注意し たらよいか教えてください。
シックハウスが健康に害があると問題視されだしたのは10年ほど前。国でもその対策を始め、ようやく98年ガイドラインも出来ました。建材メーカーも各々対応に努力してきていますが、各社まちまちでまだ十分とはいえません。
シックハウスは有害な化学物質を含んだ新建材・新素材の多量使用と高気密で換気の悪い室内環境が原因。 また、ダニやカビもアレルギーに直接的な影響があります。間接的にはダニ、カビ対 策として化学物質を使用することにも影響があります。その対策は、一口に言えば 「自然素材を多く使い、換気のよい家」を造り、「日常生活でも湿気対策を十分に行 う」こと。
もともと伝統的手法で自然素材を多く使い、通風のよかった古い住宅には、シックハウスなど無かったはずです。シックハウス対策には、自然素材100%の家 が理想ですがそうもいきません。たとえ新建材・新素材を使う場合でも、問題となる 化学物質を含んでいないと表示されたものを使うことをおすすめします。使用する場合も少量で、使用する部分も人体に影響されにくい構造材・外壁材から下地材、内装・ 家具・建具材と使用する場所に優先順位を設けておくとよいでしょう。内装材は特に 注意。問題とされる化学物質は、ホルムアルデヒド・トルエン・キシレン・有機リン 系防虫剤・可塑剤・防カビ防腐材等。リフォームも新築と同様、信頼のおける業者や建築家に相談しましょう。 『月刊ぷらざ2002年12月号掲載』回答: 石川純男(JIA会員)

メンテナンス

Q.私の家がどのくらいの地震まで耐えられるのかを調べる方法はありますか?また、その結果の対処法を教えてください。
ご自身の家がどれくらいの地震に耐えられるかを知りたい方は多いかと思います。 さて、耐震性を調べる方法ですが、静岡県や東京都では「自分で出来る耐震診断」のマニュアルがあります。 ここでは東京都の診断法について紹介します(このマニュアルを引用した小冊子を前橋市建築指導課で無料配布しています)。
診断項目はAからGまで6つあり、それぞれの評価点を掛け合わせて得られる点数によって、耐震性能を評価します(※1) 。
評価点により、1)安全 2)一応安全 3)やや危険 4)倒壊または大破の危険がある、になります。
目視で診断が出来ますので、ぜひやってみてください。
不幸にして診断結果が危険と出た場合は、筋かいを増やしたり、構造用合板を貼るなどして耐震性能を上げることができます。
なお、詳細な診断結果をお望みの方は、構造家または建築家に相談してみることをおすすめします。
(※1) 評価点=ABCDEF
A=地盤・基礎の状態 B=建物の形状 C=壁の配置状態 D=筋かいの有無 E=壁の量 F=老朽度 『月刊ぷらざ2000年8月号掲載』回答:山内彰(JIA会員)
Q.家を新築しましたが、家を維持していくためには今後、どのような点に注意すれば良いでしょうか?
最近の住宅建築は耐久性が高まり、三世代まで残せるほどになっています。家は大事な財産です。この財産を次の世代まで残していくためにもメンテナンスは必要不可欠です。建てたままでメンテナンスを怠れば家の傷みも速く進行してしまい、次の世代まで残せなくなってしまいます。
そこでメンテナンスですが、特に外部は定期的に見回りをした方が良いでしょう。
外部は、日照や風雨などにさらされているので傷みやすいものです。屋根、雨どい、外壁等、雨漏りがしてからでは大変です。内部までも傷んでしまい、補修工事に大きな出費がかさんでしまいます。
設計会社や建築会社にどのくらいで維持工事をした方が良いか相談したり、建築会社の方も定期的にアフターフォローに専門家のアドバイスを受けると良いでしょう。
住宅を計画している人は、住宅の維持管理も考えた上で、設計会社に相談して計画を立てることをおすすめします。世代に渡り何十年とその家に住まわれるわけですから、安心して快適な生活ができるように家の維持管理対策を考えていただき、次の世代まで繋がるように大切に守ってください。 『月刊ぷらざ2001年9月号掲載』回答:井野徹(JIA会員)
Q.室内の結露がひどいのですが、これを防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?
今までの古い木造の家ではスースー風が出入りして、部屋の中で発生した水蒸気はたちまち流失し室内は乾燥していました。それが近ごろの住宅は、2重壁やコンクリート造りになり、壁床天井を断熱処理したり、隙間風が入らないような密閉住宅になってきました。高断熱、高気密住宅では、計画的な換気ができないと室内空気は汚染し、高湿度になり結露やダニが発生します。暖房された部屋で室内の湿度が高くなると、直接外気に接しているガラス面や窓まわりが結露します。これは拭き取るしか手がありません。
また、部屋の角隅は空気の流れのよどみができて表面温度が下がり結露します。これは造作で断熱材を内部にうまく貼って結露を防止します。浴室や炊事場の湯沸かし、煮炊きによる湯気、洗濯物をストーブ等で乾燥するときには大量の水蒸気が発生します。いずれも換気扇を発生源の近くでしっかり回して水蒸気を外に排出することです。
家具や棚等が北側や東西側の壁に密着していると、裏側の壁下等がいつの間にか結露しています。動かすことの出来る家具等は、裏側壁との間に5cm位の隙間を作ったり下に簀の子を敷いてください。
結露防止には換気が一番です。『月刊ぷらざ2002年3月号掲載』回答:青木榮(JIA会員)

家づくり全般

Q.住宅メーカーのチラシやパンフレットに出ている「坪単価」ついて、どういうものなのか教えてください。
坪単価は建築工事費を延面積で割り、1坪(畳2枚分、1.82m×1.82m=3.3㎡)当たりの金額に換算したものです。予算を出す時や予算が決まった時に、どの位の広さが建てられるのかの目安となります。例えば坪単価50万円で30坪の家を建てれば、予算は1500万円、予算2000万円で坪単価50万円なら40坪の家が建てられることになります。おおまかな計算に都合が良いので良く使われます。
しかし、ここで注意しなければならないのは、坪単価算出の元になる建築工事費と延面積にはどの範囲まで含まれているのかは、各メーカーによって違いがあるということです。
塀や門扉、カーポートなどの外構工事、野外給排水工事等、建物の外回りの工事は工事費に含まれないことが一般的で、照明器具やシステムキッチンも含まれないケースもあります。
床面積には2階のバルコニーも含めて計算していない場合もあります。
会社が違えば同じ坪単価でも内容には差があります。
坪単価が安くても好みの仕上げや希望する設備の追加で大幅なコストアップにつながることもあり、「坪単価が安い=総工事費が安い」とは一概に言えないのです。
坪単価のからくりを踏まえ、建築工事費にはどこまでが含まれ、どのような仕上げや構造、設備になっているのか、床面積にはどこまで算入しているのかなどの内容を確認した上で予算検討の参考にしましょう。『月刊ぷらざ2001年5月号掲載』回答:松本金弥(JIA会員)
Q.区画整理や道路整備で建物を建て替える時、留意点を教えてください。
個々の住宅や店を建て替えるには、建物の機能やデザイン、性能について設計事務所や工務店などの専門家に相談し、納得のいくよう造ることが基本です。
しかし、区画整理や道路整備で建て替えられる建物は1軒や2軒ではなく、地域、地区全体に 影響を及ぼしている場合がほとんどと考えられます。通りや商店街には固有の歴史があり、思い出があり、それが地域の個性やアイディンティティーになっているのです。
区画整理は道が広がり、ライフラインが整備され、生活の向上のためには必要な事業でしょう。
しかし、将来的に子や孫たちの生活にまで影響を及ぼしてゆく大変革事業であるという認識を持つことが重要と考えます。したがって個々だけの建て替え で済まさず、街並みの創造を行うために近所の住人、自治会、区、市(県道や国道が 関係すれば、県や国)の関係者、専門家を交え『私たちの街に大切なのは何か、そしてどのような生活空間や街並みにすべきなのか』を協議しましょう。
地域、地区、そして通りの皆さんと一緒に建築協定、緑化協定等をつくり、歩道の仕上げの材料や色、外灯のデザイン、インフォメーションやアメニティーなどのパブリック空間を提案し個々のスペースと合わせて、納得した街づくりを進めてゆくことが大切です。役所で は意外とこのような申し出に対応してくれるはずです。『月刊ぷらざ2001年10月号掲載』回答:萩原渉 (JIA会員)
Q.家をつくるために、まず何から始めたら良いでしょうか?
皆さんが家を建てる時、まず住宅展示場へ行ってみる、あるいは知り合いの大工さ んや工務店に相談してみる、という話をよく耳にします。これも一つの方法ではありますが、まずは設計者を選ぶことが家を建てる時の最初の仕事です。しかも自分にとって最良の設計者を選ぶことです。
本来、建物を建てる場合には、法律的に設計・監理者(一級・二級・木造建築士)が必要なのです。設計者には、私たちのような設計監理を専業とする設計者のほか、ハウスメーカーや工務店等に所属している設計者もいます。それぞれの立場でその業務の内容も違います。
どういう設計者を選ぶかは、家 族全員の生活や人生のことも含め、「家をつくる目的」を改めて考えて見てはいかがでしょうか。
いずれにしても、良い家をつくるための設計者選びは重要なことです。
ただ単に技術的な処理やデザインをする技術者、あるいはデザイナーとしての付き合いだけではすみません。「家をつくる」という共通の目的に向かって、パートナーとしてのお互いの価値観や相性も大切な要素です。家をつくることは、建主にとっても大変精力を使う一大事業です。だからこそまずは、信頼のおけるパートナー(設計者)選びに全精力を傾けてみることをおすすめします。 『月刊ぷらざ2002年1月号掲載』回答:岡田敦志(JIA会員)

工法

Q.在来工法やプレハブ工法、2×4工法などという言葉を耳にしますが、どういう工法ですか? またこれ以外にもよく使われる工法がありましたら教えてください。
【○○工法】とは一般的に、屋根や壁・床を支える「構造」の作り方を示します。工法の分類にはいくつかの分け方があります。
(1) 作り方による分類
…工場で材料の加工を行い現場では主に組み立てをするプレハブ工法とそれ以外に分けられる。

(2) 主要な材料による分類
…木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・石・ブロック・レンガ等の組積造等。以上の分類があり、プレハブ造の場合は材料的には木質系・鉄骨系・コンクリートパネル系等に細分されます。

住宅は古代より、その土地の気候や風土に一番適した構造・材料で作られてきた歴史がありますが、国際化時代においてさまざまな外国の建築様式が導入されています。その一例が北米を中心に開発された2×4工法です。家を建てる場合の条件として、敷地の形状、家族構成、家族の嗜好、気候等を良く整理し、一番適した工法を選択することが大切です。

———-主な工法の特徴———-

【在来工法】
木造軸組構造を伝統的技術で組み立てのため設計・施工の自由性は高いが、熟練した現場技能者を必要とする場合がある。

【プレハブ工法】
工場で基本部分を製作し品質管理面で安定したものが期待できるが、極端な最小敷地では平面(間取り)が規格の制限で施工ができない場合がある。

【2×4工法】
木質系のパネル工法で構造は合理的で安全性の評価は高いが、壁で屋根・床を支える構造のため、やや壁の量が多く必要。また増改築等、後の間取り変更に制限がある。『月刊ぷらざ2000年9月号掲載』回答:米田雅夫(JIA会員)
Q.最近住宅に、高断熱・高気密住宅が良いとよく聞きますが、どうしてなのでしょうか?また一般の住宅でも必要なのでしょうか。もし工事をするとしたらコストはどのくらいかかるのか教えてください。
第一に高断熱住宅とは、暖房や冷房を運転する期間の熱エネルギーの利用効率が高い住宅のことです。
第二に高気密は、高断熱にすることによりおのずと気密は高くなります(相当隙間面積2c㎡~3c㎡)

ただ、気密性だけを高めることはホルムアルデヒドを含む建材や接着剤の使用により、シックハウス症候群・結露・ダニ等の多発しやすい欠点も出てきます。

この点において、快適性・健康性を確保するためには計画換気システムを取り入れることが重要です。冷暖房を使用しない時期は、窓を開放して空気の入れ替えを心がけることが大切です。

また一般住宅に必要かについては、内部空間を大きくとり、吹き抜けを設けても高気密・高断熱仕様の場合、内部の温度・湿度の一定化で快適性・健康性の確保は従来の建物よりもはるかに高くなります。コスト面も一般住宅の2~3割増くらいで可能です。『月刊ぷらざ2000年10月号掲載』回答:笹澤智治(JIA会員)
Q.外断熱工法の特長とコスト面も含めて教えてください。
建物の断熱性能を向上させるには、性能の良い断熱材で建物を覆う必要があります。その方法として従来は、外部に面する媒体(柱、外壁、屋根等)の内側で覆ってきました。ヨーロッパでは1970年代始め、断熱材を媒体の外側で媒体ごと覆うことが、省エネ対策として一般化してきました。このように外部に面する媒体の外側に断熱材を入れ、媒体ごと覆う方法が「外断熱工法」です。

特に鉄筋コンクリート造やブロック造等、暖まりにくく冷めにくい蓄熱体として利用できる材料で、媒体を作る建物の場合には、外断熱工法が省エネ・室内快適環境に優れた効果を発揮します。

またこの工法は媒体ごと断熱材で覆うため、外気温変化や雨水の浸入による媒体の劣化を低減させ、耐久性を高めます。木造の場合には、材木が蓄熱体として期待できませんが、軸組の外側を断熱材で覆った方が、設備配管やボックスに当たる断熱材の欠き込みが少なく確実な断熱工事が出来ます。

イニシアルコストは、高断熱高気密工法が前提となりますが、
鉄筋コンクリート造で工事単位面積当たり3.000~7.000円/㎡(耐火構造)、
木造は2.000円/㎡程度
の金額増で工事可能です。

耐火の必要のない42坪程度の住宅では50~75万円/戸の割り増し工事費が必要と考えればよいでしょう。いずれにせよ、効果の著しい鉄筋コンクリート系の建物では、外断熱工法が21世紀の断熱の主流になるでしょう。『月刊ぷらざ2001年3月号掲載』回答:唐沢勉(JIA会員)
Q.雨水利用を住宅で使用したいと考えていますが、どのようにしたら良いでしょうか?
敷地に降り注ぐ雨を活用することは、これからの時代、一人ひとりが、環境を大事に生活していくことです。雨水利用を実践していかれることを嬉しく思います。
建物の屋根等へ降る雨は、汚れも少なく貯めて使用すれば、水源として有効活用ができます。簡単な方法は雨水取出し口を、既存の雨樋の途中に設置することで、雨水などを使って手軽に雨水利用を始めることができます。

「雨水貯水タンク」という既 製品もあります。現在、各行政においても雨水利用に関して補助金制度が整いつつあります。貯留タンク設置の補助金も出る市町村もありますので活用してはいかがでしょうか。

また、少し大きな設備になりますと、ゴミをフィルターで取り除いた後、建物の基礎等を利用した水槽やタンクに貯水して、ポンプアップしてトイレの洗浄や植木の水やり、洗車などにも利用できます。雨水利用は水資源を節約できるだけでなく、 非常時の貯留槽にもなります。
一歩進めて、地域の住民全体の防災用水としての「まちづくり」が実践されることを願います。『月刊ぷらざ2002年9月号掲載』回答:荘司由利恵(JIA会員)
Q.既存のコンクリート造りの住宅でも外断熱工事は可能ですか?
既存の建物でも外断熱工事は勿論可能です。外断熱は建物の外側を断熱材で覆い、外部からの熱伝達を断つ断熱工法ですから次のような場合には注意が要求されます。

1.建物に庇やバルコニー等の外部突起がある
2.テラスや犬走り等コンクリート製の 土間が建物に接している
3.サッシやドア及びそれらに組込まれているガラスが非断熱である

1の場合これら外部突起からの熱伝達を防ぐ必要があります。
外部突起を 断熱材で覆い仕上げれば良いのですが、施工面積の多さや工法上の難しさを伴い、費用対効果の点でも効率的ではありません。
このような外部突起は撤去して熱が伝達しないように再構築することが好ましいのですが、室内結露を防ぐことに限定すれば外部突起が接する室内面を断熱することでも対応出来ます。この場合、困難なのは建物外周部の土に埋もれた部分の断熱です。外部土間を一部解体してでも土中建物外周 部の断熱はお勧めします。
土には断熱性能があり地表から80センチ程度の深さを超えれば断熱の必要はありません。したがって土中建物外周部の断熱を行えば、土に接している一階床下の断熱は不要です。
3は結露防止のためにも断熱サッシや断熱ドアへの取り替えが必要です。その場合、コンクリートに固定されている枠は残し、その内側に断熱サッシを組み込めます。『月刊ぷらざ2002年11月号掲載』回答:唐澤勉(JIA会員)

庭づくり

Q.家を建てる時、家と同じように庭もバランスのとれたものにする方法を教えてください。
以前は、新しい住宅地では家を建てるだけで精一杯、庭は日差しを避けるための植木、隣地や道路との境をはっきりさせるための塀、車庫の庇、といった要素の集合でした。最近その重要性を増し、工夫された庭になりつつあります。
これからの「庭の役割」を簡単に整理すると次のような内容になると思います。

1.家の空間の延長として考え、光、風の影響を考慮したそれぞれの位置関係を決める。
2.敷地内の事柄と考えず、周囲の連続した町並みの構成 要素と考え、道路など外部からの景観も重視する。
3.雨水の再利用、自家発電、生ゴミ処理、といった環境を配慮した機能を庭の中に設置することをあらかじめ考える 。
最近は、手軽に園芸資材や外構資材が手に入るよう になり、ヨーロッパ流のガーデニングが盛んで、道路からの景観も綺麗な庭の連続で目を楽しませてくれるようになりました。これは大変良いことだと思います。

庭の管理を継続するのは相当の努力も必要で、何年かすると空き鉢の山となることは避けたいものです。そして、ぜいたくを言えば、みんな同じでなく、各家庭それぞれの個性の差ができるような物になると良いと思います。『月刊ぷらざ2000年8月号掲載』回答:山内彰(JIA会員)
Q.植栽・庭づくりの計画について教えてください。
住宅を計画するにあたり、外部空間(庭)も同時に考えておきたいものです。分譲地で家とフェンスだけ建っているのを時々見かけますが、なんとも寂しいものです。予算上つい後回しになってしまうのでしょうが、おおよそ工事費の2~5%もあれば そこそこの庭が計画できます。

私たち設計者は住宅を計画する場合、外(庭)とのかかわり・バランスを大切に考えます。窓から見える風景や庭と内部空間のつながり方、樹木による陽射しの調整や目隠し、風除け効果など。広い敷地であれば開放的な関係が可能ですし、狭く煩雑な環境であればプライバシーを考慮した庭の計画が必要となります。よく内が先か、外が先かという話になりますが、私はよく計画された外部空間があってこそ室内空間が生きてくると思います。

庭では樹木が主役です。まず自分が気に入った木を一つ選び、家(空間)の中心に置いてみましょう。その木を眺めて楽しむ場所、木もれ陽や木かげを楽しむ場所、風の音を聴く場所、いろいろなイメージを膨らませながら生活空間を計画してみてはいかがでしょうか。『月刊ぷらざ2002年10月号掲載』回答: 長井淳一(JIA会員)

材料

Q.古民家の材料を使った家を建てたいと思ってますがどうしたら良いでしょうか?
百年以上経った古民家には、太くて長い勇壮な松梁や欅の大黒柱(一尺以上のも の)、差鴨居が使われています。現在ではとても手に入らないような材料が大量に使われている宝の山。こうした古民家が解体され産業廃棄物として処理されています。 これを産廃せず古材の価値を再認識し、より美しい家作りを目指す動きがあります。

古民家の再利用については

・『骨組みをそのまま再利用する方法』と
・『部材を部分的に利用する方法』と
があります。
骨組みをそのまま再利用するには部材と建築計画を融合させるため、解体前に建物の調査を十分にしておく必要があります。部分的に利用するには柱や差鴨居、框等を削り直したり、柱や板に挽き直したりする方法があります。

また建具、床の間、天井板、煤竹とを新しい家に組み込む方法もあります。すでに解体した古材を販売している所もありますので足を運んでみるのも良いと思います。 古民家を再利用するには事前調査や解体を手壊しで行うので調査費や解体費が通常より高くつきます。しかし、重厚な雰囲気や美しい木目、落ち着きのある空間を造り出 せるのも木材の良さです。木材は我々が思っている以上に強く長持ちをし、環境に優しい素材です。古材を使うには時間と手間が掛かりますが、建築家と良く相談し、良 い空間を作り出してください。『月刊ぷらざ2003年2月号掲載』回答: 須田睿一(JIA会員)
Q.左官壁が最近少なくなったのは、どういう理由なのでしょうか?
自然素材の木と紙と土で作られてるのが日本の建築でありました。そんな時 代にはシックハウス症候群もなかったのです。
木舞掻き、漆喰塗り、掻き落し、なまこ壁、人研、叩き、洗い出し等、懐かしい言葉が消えて行きます。

最たる原因は前近代的な工法によるものと思われます。
壁下地作りから始まって、下塗り、乾燥、上塗り、乾燥と工程を踏むので、工期短縮を図り たいクライアントの要望と相容れないのです。
和室でさえ和調のビニールクロスが使われるようになりました。大変に嘆かわしいことです。さらには施工過程での汚れが若い後継者不足へとつながっています。

日本古来からの左官壁を残すには、

健康な住まいとなることを見直し、
塗り壁のテクスチャーの良さを見直し、
建設行為にクライアントが積極的に参画してくること
以外に方法はないと思われます。そうすることによって伝統的な職 人芸を残してやって頂ければと思います。極少ながら、若い後継者は今でもいます。

最近のある現場での出来事でした。左官職が大磯の洗い出し仕上げを始めた途端、 ほかのすべての職方が全員手を休め、その技に見入ったことがありました。これほどまでにこの仕事は人の心を打つものであります。 『月刊ぷらざ2003年3月号掲載』回答:下田進(JIA会員)
Q.古民家の材料を使った家を建てたいと思ってますがどうしたら良いでしょうか?
百年以上経った古民家には、太くて長い勇壮な松梁や欅の大黒柱(一尺以上のも の)、差鴨居が使われています。現在ではとても手に入らないような材料が大量に使われている宝の山。こうした古民家が解体され産業廃棄物として処理されています。 これを産廃せず古材の価値を再認識し、より美しい家作りを目指す動きがあります。

古民家の再利用については

・『骨組みをそのまま再利用する方法』と
・『部材を部分的に利用する方法』と
があります。
骨組みをそのまま再利用するには部材と建築計画を融合させるため、解体前に建物の調査を十分にしておく必要があります。部分的に利用するには柱や差鴨居、框等を削り直したり、柱や板に挽き直したりする方法があります。

また建具、床の間、天井板、煤竹とを新しい家に組み込む方法もあります。すでに解体した古材を販売している所もありますので足を運んでみるのも良いと思います。 古民家を再利用するには事前調査や解体を手壊しで行うので調査費や解体費が通常より高くつきます。しかし、重厚な雰囲気や美しい木目、落ち着きのある空間を造り出 せるのも木材の良さです。木材は我々が思っている以上に強く長持ちをし、環境に優しい素材です。古材を使うには時間と手間が掛かりますが、建築家と良く相談し、良 い空間を作り出してください。『月刊ぷらざ2003年2月号掲載』回答: 須田睿一(JIA会員)
Q.最近いろいろな屋根材を見かけますが、どんな屋根葺材料があるか教えてください。
現在、屋根を葺(ふ)く材料は大きく分けて以下の5つです。それぞれ特性を持ち、耐久性・表情・屋根の形などとのかねあいで決めると良いでしょう。

◇植物材
芽吹き・桧皮葺き・柿葺き等。皮や茎、割った木を重ねて葺く古くから使われ、現在では材料の入手が困難であり職人の減少でコスト高。特長は優れた断熱性です。

◇石材
薄くした石を重ねて葺くもので、天然スレート・鉄平石等が使われます。この材料も植物材と同様、あまり使う機会の少ない材料となってきました。

◇金属材
古くから使われてきたものには、銅板・鉛板があり、最近は鉄板にアルミニウム・ステンレス・チタン等とその複合板が広く使われています。どれも軽く、屋根を薄くできますが、断熱は他の材料との組み合わせにより確保します。

◇粘土板材
主に瓦として馴染みの材料で、形・色等多種あり製品によって表情が多様に変化します。また、耐久性に優れ、瓦の下面を空位が流れるため、屋根面の熱を下に伝えにくい性質があります。

◇セメント系
モルタルを成型し瓦状にしたもの、石綿等をセメントに混ぜ成型し、板または波板状にしたもの等があります。瓦状のものは瓦、板状のものは金属材の特徴を持ちますが、顔料を使っているものが多く、色があせることもあります。 『月刊ぷらざ2000年12月号掲載』回答:松村和雄(JIA会員)

法令関係

Q.2001年から「瑕疵担保」が10年間になったと聞きましたが、どういうことでしょうか?
「瑕疵担保」とは、建物を建てる時に建設会社と施主とが、契約する時に出てくる名称です。建築した建物に瑕疵(欠陥)があった場合は、施工会社が責任を持って直しますという担保責任です。

それまでは建物により1年か2年の責任でしたが、平成12年4月1日より10年間の瑕疵担保責任が法律により義務づけとなりました。この法律は「住宅の品質保持の促進等に関する法律」の中にあります。

「瑕疵担保期間10年間」の義務づけは、新築住宅取得契約(請負・売買)において、基本構造部分(柱や梁など、住宅の構造耐力上必要な部分、雨水の浸入を防止する部分)について、売り主および請負人に対して10年間の瑕疵担保責任(補修請求権等)が義務づけられることになりました。

構造耐力上主要な部分とは、基礎・壁・柱・土台・梁など。
また、雨水の浸入を防止する部分は、下地や窓といった開口部などを対象とします。

構造耐力上主要な部分は、住宅完成後は内装材に覆われて、引き渡し時に外観から瑕疵を発見することが困難です。引き渡し時から一定期間経過後に欠陥事象が生じて、はじめて瑕疵の存在に気づきます。 構造耐力上主要な部分については、長期の瑕疵担保期間の設定が必要となります。『月刊ぷらざ2001年1月号掲載』回答:荘司由利恵(JIA会員)
Q.念願の住宅を工務店の設計施工で手に入れたのですが、雨漏りがして困っています。工務店には直すように言っているのですが、一向に直してくれません。請負契約は平成12年5月2日でしたが、新しく制定された品確法が適用されるのでしょうか?
「住宅品質確保推進法(品確法)」 は、欠陥住宅対策法とも言える法律で平成12年4月1日より施行されました。

同法律は、

住宅の基本構造部分についての瑕疵(かし) 担保期間10年間の義務付け、
住宅の性能表示基準の制定、
新たなる紛争処理期間の設立、
から成っています。
基本構造部分とは建物の構造耐力上主要な部分、また雨水の浸入を防止する部分をいいます。

質問の雨漏りですが、これは明らかに瑕疵(欠陥)です。工務店との請負契約が法施行後ですので品確法が適応されます。

ただし、瑕疵修復の請求期間は瑕疵発生後原則1年間なので早めに施工業者に文書で、修復期間を定めてその期間内に直すよう請求することをおすすめします。

繰り返しの請求にもかかわらず直してもらえないようなときは、修補に変わる損害賠償請求をすることが出来ます。こうした場合は紛争解決機関または第三者の弁護士や建築家等の専門家に相談されたほうが良いでしょう。

早めに手を打つことによって内装等の2次的被害の拡大を防ぐことにもなります。『月刊ぷらざ2001年4月号掲載』回答:石川純男(JIA会員)
Q.住宅の雑誌やカタログに施工面積と法床面積などと書かれていることがあります。違いは何ですか?
建築に関する法律に建築基準法がありその中で床面積に関する算定方法が規定されており、これにより算定さ れたものが通称法床面積と称されているようです。特徴は室内用途に供する部分を扱います。これにより建蔽率等の法規制の根拠となります。
一方施工面積はベランダやマンションの外廊下等室内用途ではないのですが、工事をするにあたり見積上計上しなくてはならない部分として、各団体、各 メーカーが独自に基準を定めたもので、ベランダ、外廊下の面積を全て算入するものや、2分の1だけ算入するものなどまちまちです。

比較しますと一般的には施工面積の方 が大きくなり、基準がまちまちなことも留意する必要があります。

家を建てる際の工事費の概算を客観的に判断する際には施工床面積、規模を検討する時は法規制に適合する法床面積を参考にするとよいと思います。
また特殊な例で営業許可を所轄の役所に申請する際、内法(うちのり)で算定する方法もあります。いずれにしても面積の算定根拠が不詳の場合は、資料作成先に確認をしておくと誤解等の発生を防ぐことが出来ます。『月刊ぷらざ2002年5月号掲載』回答:米田雅夫(JIA会員)

計画

Q.住宅の平面計画について、注意する点を教えてください。
私たち設計者が住宅設計の依頼を受けた時、どういう点に注意しながら計画を進めるかを説明してみます。
まずは家族、そしてその家族と良く話し合うことから始めます。家族のそれぞれが持っているイメージを話し合いの中から拾い集めてまとめていきます。それと同時に重要なのが敷地。敷地の持つ条件が、そこに建つ住宅のかなりの部分を決めていると言っても良いでしょう。

道路はどちらにあるのか。それにより玄関の位置が決まります。敷地が広ければ平屋ということも考えられます。そして敷地の周りに何があるかということも大変重要です。隣家がどの場所にあるのか、また窓はどの部分か、そしてどこが開けているのか、またそこから何が見えるか。例えば、山が見えればそこに窓を持ってくるとか、隣家の手入れされた樹木があれば、それを借景として利用させていただくのもひとつの方法です。

また、予算にかかる問題として平面の形があります。四角で凹凸がないほうが安いですし、中庭などをつくれば高くなります。間仕切りが多ければ、当然予算的にはかかります。

いずれにしてもそれぞれの家族、敷地、みな違うわけですから、それに適した計画を信頼できる設計者とともに造っていただきたいと思います。『月刊ぷらざ2000年11月号掲載』回答:羽鳥悟(JIA会員)
Q.敷地が狭く、しかも変形しています。家を建てるにはどうしたら良いか教えてください。
狭小、変形地といってもいろいろなケースがあります。間口が狭く奥行きのある敷地、三角形や台形のもの、また高低差のある傾斜地、はては崖地であったりと・・・。
そして敷地には形状だけではなく、方位、気象、道路、周辺の関係が重なります。これらの敷地で計画を進める場合のいくつかのキーワードを説明します。

◇吹き抜け
吹き抜けは上下の空間につながりをつくります。平面的に十分なスペースを取れなくても、立体的な広がりを作ることは可能です。

◇トップライト
狭い敷地では建物の周囲に空き地が取れず、光を採り入れずらくなります。トップライトによる上からの採光は小さくてもかなり明るく、空が見え、開放感が生まれます。吹き抜けと絡めると効果的です。

◇中庭
建物は建坪率により敷地いっぱいに建てることは出来ません。この残った空き地を中庭に利用できます。光や風を採り入れるだけでなく、塀や緑で囲えば、立派な外部の部屋が出来ます。

◇スキップフロア
床のレベルに変化をつけ、階段やスロープで生活空間をゆるやかにつなぎ、のびやかな空間をつくります。傾斜地には合理的な解決方法の1つです。

ほかに屋上の緑地化、地下の利用、高層化などが考えられます。いずれにしろ小さな土地の場合はあまり欲張らず、志向するライフスタイルをしっかりととらえましょう。『月刊ぷらざ2001年2月号掲載』回答:長井淳一(JIA会員)
Q.家を改造しようと思っているのですが、どのようなことに注意したら良いでしょうか?
最近は家族構成が変わったり、設備が古くなったが建て替えるのには少々もったいない、と改造する人が増えてきています。改造は手間が掛かり、新築のように自由に平面計画はできませんが、産業廃棄物を少なくしたり地球温暖化の軽減にも寄与でき、大変良いことと思います。

改造となると必ず柱や壁の撤去を伴うものですが、柱や壁を撤去する時は構造のチェックを十分にしてください。柱を除く時はみなさん注意をしますが、壁は筋違いが入っていたりして横からの力を支える大きな役割をしています(鉄筋コンクリートも同じです)。

近ごろでは家庭内での家電率が高く、電気の容量が少なくて、ブレーカーが度々落ちる話を良く耳にします。特に台所回りは電子レンジ・炊飯器・食洗機等があり、一回路だけでは不足します。必要に応じて回路数を増やしておくことが大切です。
また、家庭でのインターネット利用も増え、電話の差し込み口も一部屋に一カ所は設けたいものです。

古い建具をうまく再利用すれば思い出も残るかと思います。改造は新しくするだけでなく、そこで暮らしてきた思い出も残しておきたいものです。

いずれにしても改造する時は、新築した時の図面を用意してその時の設計士さん、建築会社の方に良く相談して、無理のない改造をしてください。『月刊ぷらざ2001年6月号掲載』回答:須田睿一(JIA会員)
Q.工務店から壁紙のカタログを渡されましたが、どのように選んだらいいのでしょうか?
住まいの新築、模様替え、いずれの場合も部屋の雰囲気は床・壁・天井の配色で大きく変わります。最近はアレルギー対策などで自然素材を内装材料に使うことが増えてきてはいますが、予算の都合などで壁紙(ビニールクロス)貼りの家がまだまだ主流です。そんな家の場合、明るい部屋にということで白っぽい色を選びがちですが、壁紙の色は単に白くしたり、柄ものを使ったりすると、いかにも安物建材の代名詞のようになってしまいます。

こんな場合はむしろかなり濃い目で質感のあるものを選ぶと飽きのこない、落ち着いた、品の良いインテリアが実現します。その際、極力天井と壁は同系色に。濃さも同程度の色調のものを選びます。

意外かもしれませんが、照明も脇役として、むしろあまり存在感のないものを選ぶのがコツです。民芸調とかモダンとか、部屋のインテリアイメージは床・壁・天井の仕上げ方で決めるのではなく、家具やカーテン、額や置物などでその雰囲気を演出すべきでしょう。

工務店や大工さんに設計と工事を依頼した場合などは、色や柄を見本帳などで直接自分で選ぶことになりがちです。その場合は特に要注意です。壁紙の色や柄はどんなイメージに仕上がるか、デザインの専門家でないとなかなか正確に予測できるものではありませんが、設計の専門家に依頼できなかった場合は、こうした選び方のコツが案外役立つことになりそうです。『月刊ぷらざ2001年8月号掲載』回答:小見山健次(JIA会員)
Q.家の新築を考えていますが、雑誌で見たコートハウス(中庭型住宅)とは、どのよ うなものですか?
日本の戸建住宅の多くは、建物を敷地の北側に、庭を南側に配置する形が一般的です。しかし、プライバシーの面から見ると、周囲から庭や部屋の中が見えてしまうために、カーテンやついたてで防がねばならない場合があり、必ずしも快適ではありません。

庭でバーベキューをしたくても、他人の目が気になる?
部屋に大きな窓をつけたが、中が丸見えになってしまい、いつもカーテンが必要。
外からの視線を考えずに計画すると、思わずそんな目に。
また、窓から見る景色の良否も日常の中で大事な要素です。

いつも隣家の汚れた壁を見て暮らすのは寂しいものです。

中庭型住宅とは文字の通り、庭を中に取り込んだ家のことです。他から干渉されずに楽しめる庭・空間を造るという発想の家、塀や植物をうまく使って、庭をより積極的に取り込もうというアイデアの家のことで、「コートハウス」と呼んでいます。

比較的古くからある手法ですが、密集した市街地の敷地だけでなく、広い敷地でも優れた魅力を生み出します。気品のある、気持ちの良い家を造りたいと考えている方は、ぜひご検討されることをおすすめします。『月刊ぷらざ2001年11月号掲載』回答:神澤宣次(JIA会員)
Q.今から住まいを計画しますが、窓から入ってくる太陽の直射日光をうまく利用するにはどうすればよいでしょうか?
太陽は東から昇り、真南に来た時が一番高く、1日中で一番暖かです。このことは季節によって太陽の高さ(太陽高度)が違うため、春暖かく、夏は暑くなります。また、太陽の熱は地球にとどく時、途中の空気を温めず、じかに地面等を温めます。このような太陽の性質を考え、太陽高度つまり日光が地面に当たる角度を夏・冬それ ぞれ調べる必要があります。場所により異なりますが、関東ではおおよそ夏至のころで75度前後、冬至のころで35度前後くらい。詳しくは地面に棒を立て、その棒の長さと影の長さからその角度がわかります。これを使って軒の出を決めます。

まず、設計図の断面図に3つの点を設けます。掃き出し窓の敷居面で任意の場所をA点とし、A点から外側へ地面に平行に線を引き出し任意の点をB点とします。3点目は計画上の軒先をCとすると、図上に∠BACが表されます。

この角度が夏至のころより大きい角度の場合、直射日光は入ってきますので、計画時から夏・冬の直射 日光を考えた軒の出を検討しておくと、多少でも省エネとなり、太陽の熱をうまく利用する方法の一つとなります。『月刊ぷらざ2001年12月号掲載』回答:竹重功二(JIA会員)
Q.キッチンには独立型と対面型がありますが、それぞれの特徴を教えてください。
団地(マンション)の発生に伴い、空間の有効利用として、また核家族化での子育ての面から、対面型キッチンが出現したと思われます。

キッチンの型は居間・食堂との関係で決まると考えられます。まず、型の分類は、居間(L)、食堂(D)、キッチン(K)の組み合わせにより、
独立型はL+D+K、 LD+K、
対面型はLDK、L+DKとなります。

人間には、視覚、聴覚、嗅覚、 味覚、触覚の五感があり、住宅(建築)では味覚以外の四感が関係しています。
独立型では視覚、聴覚、嗅覚が守られ、居間・食堂に応接機能を持たせることができますが、孤立感があります。
対面型ではそれらがすべて開放されており、対話の楽しみもあり、居間・食堂とともにファミリースペースの意味合いが強くなります。

また、新しい考え方としては、LDK一体型ではありますが、視覚だけを遮る有効な壁を設ける方法もあります。それぞれの特徴を生かし、長期に渡る生活イメージを作り上げ、住宅の計画をされると良いかと思います。『月刊ぷらざ2002年2月号掲載』回答:林修司 (JIA会員)
Q.各部屋の考え方について教えてください。
わたしが住宅の計画する場合まずすることは、その敷地に行くことです。そしてその中で一番居心地のよさそうな場所を探します。たとえばそこに立つと遠くの山が良くみえるとか、隣の樹木が良く見えるとか、日当たりが一番良い場所であるとか、夏涼しい風が通りそうとか理由はいろいろです。そしてそこをお気に入りの場所にします。

居間が広くとれるようであれば、ソファーの位置に、あまり広くとれない場合は大きい食卓の椅子の場所で、または茶の間のコタツの座る位置でもいいですがとにかくそのお気に入りの場所を中心と決めます。
そうするとおのずと他の部屋の配置が決まってゆきます。
居間食堂は家の中心です。ファミリールームと言っても良いでしょう。食事をしたり、テレビを見たり、本や新聞を読んだり、小さい子供は宿題をしたりします。ですからできるかぎり広く、家族の皆がそれぞれにくつろげる、居心地のよい部屋にしたいものです。

住宅の各部屋は広いにこしたことはありませんが、予算や敷地の都合で建てられる面積には限りがあります。ならば居間、食堂を目いっぱい広くとり他の寝室や、子供部屋を狭くてもというのもひとつの考え方であると思います。 『月刊ぷらざ2002年6月号掲載』回答: 羽鳥悟(JIA会員)
Q.現在築20年の木造2階住宅に住んでいます。子供も大きくなり夫婦2人になったので改装したいのですが、これから年をとることを考えた使いやすい家造りのアドバイスをお願いします。
改修の目的として、

耐久性能のUP
建物の耐震性能の向上
設備機能の高度化に対応
長寿社会対応のバリアフリー
断熱 省エネルギー性能の向上
建物の歴史的表現と保存と再生
以上があげられます。

施工業者の選定が重要課題と思われるのですが、残念なことに近年欠陥リフォームによる苦情が増え続けています。これらは建築を総合的に請け負ったことのない専門工事業者の傾向が多く、その工事内容や技術力に限界や問題が見られます。

例えば、土台や柱の根元にシロアリ被害があっても、また梁や小屋組が腐食劣化していても、その上から塗装してしまう塗装業者やサイディグ屋根葺き業者も多く見られます。これらは建物の寿命を短くするばかりか、地震がきたときに建物が崩壊につながる状態になりかねません。既存建物のリフォーム設計は、すでに存在する建物の長所や短所を総合的に検査し評価する目が重要です。これは総合的な構想力、判断力が必要で、豊富な経験と技術力が必要とされます。新築と同様に経験のある建築家にご相談されることをおすすめします。『月刊ぷらざ2002年7月号掲載』回答:笹澤智治(JIA会員)

Q.マンションに住んでいます。上階の住人の子供が駆け回る音や、飛び跳ねる音がうるさくて仕方ありません。何か良い方法はありませんか。
マンションは施工費を抑えるため、階高を低くしているので、床材(カーペットやフローリング)をコンクリートの上に直接貼ったり、天井がコンクリートのままだったりしているので、上階の音が漏れ易くなっています。
また、ダニの温床のカーペットに変わりフローリング直貼り床等が多用され、一層音が漏れ易くなっています。

対策ですが天井が張ってある部屋なら、天井裏にグラスウールを敷き詰めれば、騒音のレベルは低下します。
また、天井が張ってない部屋は、吸音材を吹き付け、新たに天井を張るなどの工事が必要になります。

下階で出来ることは限られています。 要は騒音を出さないことですから、上階の方とよく話し合ってみてはいかがでしょうか。

子供に椅子やテーブル等から飛び降りさせない。
子供に部屋を駆け回らさせない。
ドア等の開閉は静かに行う。
遊びにきた友達にも上記を徹底させる。
等々、最低限のマナーは守って、トラブルなく住みたいものです。『月刊ぷらざ2002年4月号掲載』回答: 山内彰(JIA会員)
Q.吸音と遮音の違いって何ですか?
吸音は、自分の出した音が自分にどのくらい戻って来ないかを表したもので、隣の部屋のことは一切考慮されていません。
一方遮音は、自分の出した音が隣の部屋へどのくらい伝わらないかを表したもので自分のいる部屋のことは考慮されていません。
このような事から部屋の音環境は吸音と遮音を組合せて考えることになります。

吸音に適した材料は、表面がツルツルでなく隙間だらけのもの(スポンジ、グラスウール等)です。また自分の出した音がすぐ自分に戻らないよう部屋の壁、天井をデコボコにして色々な所にぶつかって長い距離を通った後、自分に戻るように工夫するのも一法です。
遮音に適した材料は、重いもの(比重の大きいもの)に尽きますが、音の伝わり方 には二通りあって空気で伝わるものと振動として伝わるものです。空気で伝わる音は、 部屋のあらゆる隙間を少なくすること(防音扉、目張り)で防ぎます。『月刊ぷらざ2002年8月号掲載』回答: 松村和雄(JIA会員)
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